手段としてのETF買い。

日銀が購入するETFの買入手順ですが、これは、公募の形で決定した住友投資信託銀行に発注されるようです。

この発注をそのまま証券会社に丸投げして、証券会社は新規のETFを組成するために、その構成用の銘柄を市場から吸い上げます。したがって、日銀のETF買いは結局は市場の浮動株を吸い上げることになるわけです。

東証1部の浮動株比率は70%程度です。時価総額は490兆円前後です。343兆円が浮動株の時価総額です。6兆円で2%程度吸い上げるだけなので、全体から見るとたいしたことありません。しかし、吸い上げた株式は金庫株になり、これを10年続けると、株価が同じという仮定のもとでは、20%吸い上げることになり、あくまで長期的な話ですが、株価上昇へのインパクトとなりえるでしょう。

どういうことが言いたいかというと、すでに国債を買うのは限界が来ていますが、株式ならまだ買えますし、価格が上昇すれば、それなりに日銀の買付価格が上昇しますので、結果的に時価が増大するので、資金の供給を継続することができます。あくまで単純計算ですけど、時価が10倍になれば、同じ数量を買うために日銀がETFに投じる金額は、60兆円必要になり、これは日銀が現在目標としている年80兆円目標と遜色がなくなります。

つまり、株価を上げることは、国債の買い付けに行き詰っても、資金供給の手段としての継続性を担保できる、と、いうことです。もしも、ヘリマネをやらないのなら、この高株価政策で、資金供給をし続けることが数少ない手段の一つになりえる、と、いうことです。

また、その効果は消費増・投資増につながりやすいので、物価2%目標に向けての政策としては、ヘリマネやその他の手段をやらないなら、継続される可能性は高いと考えています。

さて、今日の東証ですが、下げました。昨日のおそらくは日銀のETF買いで上昇した反動の結果だと思いますが、このETF買いが効果を及ぼすにはそれなりの時間がかかりそうです。短期的にもっと上げたければ、もっと、大規模に買わなければならないでしょう。ヘリマネをやらないなら、この決断を日銀ができるかどうか?と、いうところでしょうね。

対処に変化はありません。

ORION(中島美嘉
https://www.youtube.com/watch?v=q7GFtKuEQik